》を育《そだ》てました。桃太郎《ももたろう》はだんだん成長《せいちょう》するにつれて、あたりまえの子供《こども》にくらべては、ずっと体《からだ》も大きいし、力《ちから》がばかに強《つよ》くって、すもうをとっても近所《きんじょ》の村《むら》じゅうで、かなうものは一人《ひとり》もないくらいでしたが、そのくせ気《き》だてはごくやさしくって、おじいさんとおばあさんによく孝行《こうこう》をしました。
 桃太郎《ももたろう》は十五になりました。
 もうそのじぶんには、日本《にほん》の国中《くにじゅう》で、桃太郎《ももたろう》ほど強《つよ》いものはないようになりました。桃太郎《ももたろう》はどこか外国《がいこく》へ出かけて、腕《うで》いっぱい、力《ちから》だめしをしてみたくなりました。
 するとそのころ、ほうぼう外国《がいこく》の島々《しまじま》をめぐって帰《かえ》って来《き》た人があって、いろいろめずらしい、ふしぎなお話《はなし》をした末《すえ》に、
「もう何年《なんねん》も何年《なんねん》も船《ふね》をこいで行くと、遠《とお》い遠《とお》い海《うみ》のはてに、鬼《おに》が島《しま》という所《とこ
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