だんごを持《も》っているから。」と桃太郎《ももたろう》は言《い》って、
「では、ごきげんよう。」
と元気《げんき》な声《こえ》をのこして、出《で》ていきました。おじいさんとおばあさんは、門《もん》の外《そと》に立《た》って、いつまでも、いつまでも見送《みおく》っていました。
三
桃太郎《ももたろう》はずんずん行きますと、大きな山の上に来《き》ました。すると、草《くさ》むらの中から、「ワン、ワン。」と声《こえ》をかけながら、犬《いぬ》が一ぴきかけて来《き》ました。
桃太郎《ももたろう》がふり返《かえ》ると、犬《いぬ》はていねいに、おじぎをして、
「桃太郎《ももたろう》さん、桃太郎《ももたろう》さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
「鬼《おに》が島《しま》へ、鬼《おに》せいばつに行くのだ。」
「お腰《こし》に下《さ》げたものは、何《なん》でございます。」
「日本《にっぽん》一のきびだんごさ。」
「一つ下《くだ》さい、お供《とも》しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来《こ》い。」
犬《いぬ》はきびだんごを一つもらって、桃太郎《ももたろう》のあ
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