間《ま》もなく日本《にほん》の国《くに》に着《つ》きました。
船《ふね》が陸《おか》に着《つ》きますと、宝物《たからもの》をいっぱい積《つ》んだ車《くるま》を、犬《いぬ》が先《さき》に立《た》って引《ひ》き出《だ》しました。きじが綱《つな》を引《ひ》いて、猿《さる》があとを押《お》しました。
「えんやらさ、えんやらさ。」
三にんは重《おも》そうに、かけ声《ごえ》をかけかけ進《すす》んでいきました。
うちではおじいさんと、おばあさんが、かわるがわる、
「もう桃太郎《ももたろう》が帰《かえ》りそうなものだが。」
と言《い》い言《い》い、首《くび》をのばして待《ま》っていました。そこへ桃太郎《ももたろう》が三にんのりっぱな家来《けらい》に、ぶんどりの宝物《たからもの》を引《ひ》かせて、さもとくいらしい様子《ようす》をして帰《かえ》って来《き》ましたので、おじいさんもおばあさんも、目も鼻《はな》もなくして喜《よろこ》びました。
「えらいぞ、えらいぞ、それこそ日本一《にっぽんいち》だ。」
とおじいさんは言《い》いました。
「まあ、まあ、けががなくって、何《なに》よりさ。」
とおばあさ
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