の上にとび上《あ》がりました。
見《み》はりをしていた鬼《おに》の兵隊《へいたい》は、その見《み》なれないすがたを見《み》ると、びっくりして、あわてて門《もん》の中に逃《に》げ込《こ》んで、くろがねの門《もん》を固《かた》くしめてしまいました。その時《とき》犬《いぬ》は門《もん》の前《まえ》に立《た》って、
「日本《にほん》の桃太郎《ももたろう》さんが、お前《まえ》たちをせいばいにおいでになったのだぞ。あけろ、あけろ。」
とどなりながら、ドン、ドン、扉《とびら》をたたきました。鬼《おに》はその声《こえ》を聞《き》くと、ふるえ上《あ》がって、よけい一生懸命《いっしょうけんめい》に、中から押《お》さえていました。
するときじが屋根《やね》の上からとび下《お》りてきて、門《もん》を押《お》さえている鬼《おに》どもの目をつつきまわりましたから、鬼《おに》はへいこうして逃《に》げ出《だ》しました。その間《ま》に、猿《さる》がするすると高《たか》い岩壁《いわかべ》をよじ登《のぼ》っていって、ぞうさなく門《もん》を中からあけました。
「わあッ。」とときの声《こえ》を上《あ》げて、桃太郎《ももた
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