》りになりましょう。」
こう言《い》って、猿《さる》がかじに座《すわ》りました。
「わたくしは物見《ものみ》をつとめましょう。」
こう言《い》って、きじがへさきに立《た》ちました。
うららかないいお天気《てんき》で、まっ青《さお》な海《うみ》の上には、波《なみ》一つ立《た》ちませんでした。稲妻《いなづま》が走《はし》るようだといおうか、矢《や》を射《い》るようだといおうか、目のまわるような速《はや》さで船《ふね》は走って行きました。ほんの一|時間《じかん》も走《はし》ったと思《おも》うころ、へさきに立《た》って向《む》こうをながめていたきじが、「あれ、あれ、島《しま》が。」とさけびながら、ぱたぱたと高《たか》い羽音《はおと》をさせて、空《そら》にとび上《あ》がったと思《おも》うと、スウッとまっすぐに風《かぜ》を切《き》って、飛《と》んでいきました。
桃太郎《ももたろう》もすぐきじの立《た》ったあとから向《む》こうを見《み》ますと、なるほど、遠《とお》い遠《とお》い海《うみ》のはてに、ぼんやり雲《くも》のような薄《うす》ぐろいものが見《み》えました。船《ふね》の進《すす》むにした
前へ
次へ
全18ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング