はや》く都《みやこ》に上《のぼ》って、おとうさんの代《か》わりにどんなおしおきでも受《う》けることにしよう。」
こういって為朝《ためとも》はさっそく今《いま》の楽《たの》しい身分《みぶん》をぽんと棄《す》てて、前《まえ》に下《くだ》って来《き》た時《とき》と同様《どうよう》、家来《けらい》も連《つ》れずたった一人《ひとり》でひょっこり都《みやこ》へ帰《かえ》って行こうとしました。ところが長《なが》い間《あいだ》為朝《ためとも》になついて、影身《かげみ》にそうように片時《かたとき》もそばをはなれない二十八|騎《き》の武士《ぶし》が、どうしてもお供《とも》について行きたいといってききませんので、為朝《ためとも》も困《こま》って、これだけはいっしょに連《つ》れて都《みやこ》に上《のぼ》ることにしました。
こういうわけで九州《きゅうしゅう》から為朝《ためとも》について来《き》た家来《けらい》は二十八|騎《き》だけでしたが、どうしてもお供《とも》ができなければ、せめて途中《とちゅう》までお見送《みおく》りがしたいといって、いくら断《ことわ》っても、断《ことわ》っても、どこまでも、どこまでも、
前へ
次へ
全31ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング