祖母《そぼ》
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)一雄《かずお》は小学校へ
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)六|色《いろ》の色鉛筆
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一 青めがね
一雄《かずお》は小学校へ行くようになって、やっと一月立つか立たないうちに、ふと眼病をわずらって、学校を休まなければならなくなりました。
それから毎日、一雄はお医者さまからくれた青い眼がねをかけて、おばあさんと二人――まだ電車のない時分でしたから――合乗《あいのり》の人力《じんりき》で、眼科の病院へ通いました。
「食べものに気をつけて上げて下さい。この子の眼は大たい胃腸のわるいせいなのだから。」
お医者さまはこうおばあさんにいいました。
「白い身の魚ぐらいに、なるべくお粥《かゆ》がよろしい。」
二三日はお粥もめずらしかったし、おばあさんが三度々々小さなお鍋《なべ》で煮《に》てくれる半《はん》ぺんやお芋《いも》がどんなにおいしかったでしょう。青い眼がねをかけて食べると、何もかも青く青く見えました。
「青いな、青いな、何を食べても青いや。」
一雄はお
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