りのおじいさんの坊《ぼう》さんが出て来《き》ました。何《なん》だかこわらしい、食《く》いつきそうな顔《かお》をした坊《ぼう》さんでしたけれど、今更《いまさら》どうにもならないと思《おも》って、三|人《にん》は上へ上《あ》がりました。するとあるじの坊《ぼう》さんは、
「お前《まえ》さんたちはおなかがへったろう。」
といって、ごちそうをお盆《ぼん》にのせて出《だ》してくれました。ごちそうは大《たい》へんうまかったし、あるじの様子《ようす》も顔《かお》に似合《にあ》わず親切《しんせつ》らしいので、三|人《にん》はすっかり安心《あんしん》して、食《た》べたり飲《の》んだりしていました。
夕飯《ゆうはん》がすんでしまうと、あるじの坊《ぼう》さんは手をならして、
「これこれ。」
と呼《よ》びますと、もう一人《ひとり》のやはりこわらしい顔《かお》をした坊《ぼう》さんが出て来《き》ました。
何《なに》をいうかと思《おも》うと、
「御飯《ごはん》がすんだから、いつもの物《もの》を持《も》っておいで。」
といいつけました。坊《ぼう》さんはうなずいて出ていきました。いったい「いつものもの」というの
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