人魚のひいさま
DEN LILLE HAVFRUE
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen
楠山正雄訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)綱《つな》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大|水盤《すいばん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#挿絵(fig42383_01.png)入る]
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[#挿絵(fig42383_01.png)入る]
 はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、どんなにながく綱《つな》をおろしても底にとどかないというくらいふかいのです。お寺の塔を、いったい、いくつかさねて積み上げたら、水の上までとどくというのでしょうか。そういうふかい海の底に、海のおとめたち――人魚のなかまは住んでいるのです。
 ところで、海の底なんて、ただ、からからな砂地があるだけだろうと、そうきめてしまってはいけません。どうして、そ
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