ま》おみやげを持《も》ってまいりますから。」
 と言《い》って、奥《おく》からつづらを二つ出《だ》してきました。
「さあ、それでは重《おも》い方《ほう》と軽《かる》い方《ほう》と二つありますから、どちらでもよろしい方《ほう》をお持《も》ち下《くだ》さい。」
「それはむろん、重《おも》い方《ほう》をもらっていきますよ。」
 と言《い》うなりおばあさんは、重《おも》いつづらを背中《せなか》にしょい上《あ》げてあいさつもそこそこに出ていきました。
 おばあさんは重《おも》いつづらを首尾《しゅび》よくもらったものの、それでなくっても重《おも》いつづらが、背負《せお》って歩《ある》いて行くうちにどんどん、どんどん重《おも》くなって、さすがに強情《ごうじょう》なおばあさんも、もう肩《かた》が抜《ぬ》けて腰《こし》の骨《ほね》が折《お》れそうになりました。それでも、
「重《おも》いだけに宝《たから》がよけい入《はい》っているのだから、ほんとうに楽《たの》しみだ。いったいどんなものが入《はい》っているのだろう。ここらでちょいと一休《ひとやす》みして、ためしに少《すこ》しあけてみよう。」
 こう独《ひと
前へ 次へ
全12ページ中10ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング