んの目の前を踊っていく赤いくつを見たので、つくづくこわくなって、心のそこからしみじみ悔いをかんじました。
そこでカレンは、坊さんのうちにいって、どうぞ女中に使って下さいとたのみました。そして、なまけずにいっしょうけんめい、はたらけるだけはたらきますといいました。お給金《きゅうきん》などはいただこうとおもいません。ただ、心のただしい人びととひとつ屋根の下でくらさせていただきたいのです。こういうので、坊さんの奥さまは、カレンをかわいそうにおもってつかうことにしました。そしてカレンはたいそうよく働いて、考えぶかくもなりました。夕方になって、坊さんが高い声で聖書をよみますと、カレンはしずかにすわって、じっと耳をかたむけていました。こどもたちは、みんなとてもカレンが好きでした。けれども、こどもたちが着物や、身のまわりのことや、王さまのように美しくなりたいなどといいあっているとき、カレンは、ただ首を横にふっていました。
次の日曜日に、人びとはうちつれてお寺にいきました。そして、カレンも、いっしょにいかないかとさそわれました。けれどもカレンは、目にいっぱい涙をためて、悲しそうに松葉杖をじっとみつ
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