中の島《しま》に生《は》えていた青竹《あおだけ》を切《き》って来《き》て、目の荒《あら》いかごをこしらえました。そしてその中へ、川の石に塩《しお》をふりかけて、それを竹《たけ》の葉《は》に包《つつ》んだものを入《い》れて、
「この兄神《あにがみ》のようなうそつきは、この竹《たけ》の葉《は》が青《あお》くなって、やがてしおれるように、青《あお》くなって、しおれてしまえ。この塩《しお》が干《ひ》からびるように干《ひ》からびてしまえ。そしてこの石が沈《しず》むように沈《しず》んでしまえ。」
 とのろって、そのかごをかまどの上にのせておきました。
 すると兄神《あにがみ》はそのたたりで、それから八|年《ねん》の間《あいだ》干《ひ》からびて、しおれて、病《や》み疲《つか》れて、さんざん苦《くる》しい目にあいました。それですっかり弱《よわ》りきって、泣《な》き泣《な》きおかあさんの女神《めがみ》におわびをしました。
 そこでやっと女神《めがみ》がのろいをといておやりになりますと、兄神《あにがみ》はまたもとのとおりの丈夫《じょうぶ》な体《からだ》にかえりました。



底本:「日本の諸国物語」講談社
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