いろに骨《ほね》を折《お》ってみたが、どうしてもいうことを聴《き》いてくれない。どうだ、お前《まえ》ならもらえると思《おも》うか。」
と聞《き》きました。
「わたしなら、わけなくもらってみせますよ。」
と弟《おとうと》の神《かみ》が、笑《わら》いながらいいました。
「ふん、そんならお前《まえ》とわたしと、どちらが早《はや》く少女《おとめ》をもらうか競争《きょうそう》をしよう。もしわたしが負《ま》ければ、この着物《きもの》をぬいでお前《まえ》に上《あ》げよう、そしてわたしの背《せい》の高《たか》さだけの大きなかめに酒《さけ》をなみなみ盛《も》って、海山《うみやま》のごちそうを一通《ひととお》りそろえて、お客《きゃく》に呼《よ》んでやろう。」
といいました。すると霞男《かすみおとこ》はいよいよおもしろがって、
「ようございますとも。そのかわり万一《まんいち》わたしが負《ま》けたら、にいさんの代《か》わりに、わたしがごちそうをしましょう。」
こう約束《やくそく》をして別《わか》れました。
弟《おとうと》の神《かみ》はそれからうちへ帰《かえ》って、兄神《あにがみ》と賭《かけ》をしたこ
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