三輪の麻糸
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)神代《かみよ》
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     一

 むかし神代《かみよ》のころに、大国主命《おおくにぬしのみこと》の幸魂《さきみたま》、奇魂《くしみたま》の神《かみ》さまとして、この国《くに》へ渡《わた》っておいでになった大物主命《おおものぬしのみこと》は、後《のち》に大和国《やまとのくに》の三輪《みわ》の山におまつられになりました。さて、その山を三輪山《みわやま》というについて、こういうお話《はなし》が伝《つた》わっています。
 ある時《とき》大和国《やまとのくに》に、活玉依姫《いくたまよりひめ》という大《たい》そう美《うつく》しいお姫《ひめ》さまがありました。
 この活玉依姫《いくたまよりひめ》の所《ところ》へ、ふとしたことから、毎晩《まいばん》のように、大《たい》そう気高《けだか》いりっぱな若者《わかもの》が、いつどこから来《く》るともなくたずねて来《き》ました。そのうちに、とうとう若者《わかもの》は、お姫《ひめ》さまのお婿《むこ》さんになりました。
 間《ま》もなくお姫《ひめ》さまには子供《こども》が生
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