え》りにわたしを見《み》つけて、御殿《ごてん》に連《つ》れ帰《かえ》ってお后《きさき》になさいました。わたしは長《なが》い間《あいだ》きつねでいた時分《じぶん》人間《にんげん》にいじめられとおしてきたことを思《おも》い出《だ》して、ふと悪《わる》い心《こころ》がおこりました。そこである時《とき》天羅国《てんらこく》にいろいろと天災《てんさい》がおこって人民《じんみん》が困《こま》っていると、わたしは班足王《はんそくおう》にすすめて、これはお墓《はか》の神《かみ》のたたりですから、これから毎日《まいにち》十|人《にん》ずつ人の首《くび》を切《き》って、百|日《にち》の間《あいだ》に千|人《にん》の首《くび》をお墓《はか》に供《そな》えてよくおまつりなさい。きっと災《わざわ》いをのがれることができますといいました。じつは天災《てんさい》というのもわたしが術《じゅつ》をつかってさせたのですが、王《おう》はこれを知《し》らないものですから、わたしのいうとおりに、毎日《まいにち》罪《つみ》のない人民《じんみん》を十|人《にん》ずつ殺《ころ》して、千|人《にん》の首《くび》をまつりました。すると人
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