鬼六
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)ある村《むら》

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     一

 ある村《むら》の真《ま》ん中《なか》に、大きな川が流《なが》れていました。その川は大《たい》へん流《なが》れが強《つよ》くて速《はや》くて、昔《むかし》から代々《だいだい》、村《むら》の人が何度《なんど》橋《はし》をかけても、すぐ流《なが》されてしまいます。村《むら》の人たちも困《こま》りきって、都《みやこ》で名《な》だかい大工《だいく》の名人《めいじん》を呼《よ》んで来《き》て、こんどこそけっして流《なが》れない、丈夫《じょうぶ》な橋《はし》をかけてもらうことにしました。
 大工《だいく》はせっかく見込《みこ》まれて頼《たの》まれたので、うんといって引《ひ》き受《う》けてはみたものの、いよいよその場《ば》へ来《き》てみて、さすがの名人《めいじん》も、あっといって驚《おどろ》きました。ひっきりなし、川の水《みず》はくるくる目《め》の回《まわ》るような速《はや》さで、渦《うず》をまいて
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