たように、元気《げんき》をとりもどして、宿屋《やどや》に帰《かえ》って寝《ね》ました。
その明《あ》くる日、大工《だいく》がまた川へ出ると、鬼《おに》はさっそく出て来《き》て、
「さあ、すぐ、目玉《めだま》をよこせ。」
といいました。
「まあしばらくお待《ま》ちください。どうもこの目をとられては、あしたから大工《だいく》の商売《しょうばい》ができません。かわいそうだとおぼしめして、何《なに》かほかのお礼《れい》でごかんべん願《ねが》います。」
こう大工《だいく》がいうと、鬼《おに》はおこって、
「何《なん》といういくじのないやつだ。じゃあためしにおれの名《な》を当《あ》ててみろ。うまく言《い》い当《あ》てたら、かんべんしてやらないものでもない。」
といいました。
そこで大工《だいく》は、わざとまずでたらめに、
「大江山《おおえやま》の酒顛童子《しゅてんどうじ》。」
というと、鬼《おに》はあざ笑《わら》って、
「ちがう、ちがう。」
と首《くび》を振《ふ》りました。そこでまたでたらめに、
「愛宕山《あたごやま》の茨木童子《いばらきどうじ》。」
というと、鬼《おに》はよけいお
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