えもあるような大きな杉《すぎ》の木が立《た》っていました。金太郎《きんたろう》はまさかりをほうり出《だ》して、いきなり杉《すぎ》の木に両手《りょうて》をかけました。そして二、三|度《ど》ぐんぐん押《お》したと思《おも》うと、めりめりとひどい音《おと》がして、木は川《かわ》の上にどっさりと倒《たお》れかかって、りっぱな橋《はし》ができました。金太郎《きんたろう》はまたまさかりを肩《かた》にかついで、先《さき》に立《た》って渡《わた》っていきました。みんなは顔《かお》を見合《みあ》わせて、てんでんに、
「えらい力《ちから》だなあ。」
 とささやき合《あ》いながら、ついて行きました。
 その時《とき》向《む》こうの岩《いわ》の上にきこりが一人《ひとり》かくれていて、この様子《ようす》を見《み》ていました。金太郎《きんたろう》がむぞうさに、大きな木をおし倒《たお》したのを見《み》て、目をまるくしながら、
「どうもふしぎな子供《こども》だな。どこの子供《こども》だろう。」
 と独《ひと》り言《ごと》を言《い》いました。そして立《た》ち上《あ》がって、そっと金太郎《きんたろう》のあとについて行きま
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