しそうに帰《かえ》っていきました。金太郎《きんたろう》はおかあさんの前《まえ》に手《て》をついて、
「おかあさん、では行ってまいります。」
と言《い》いました。そして、貞光《さだみつ》のあとについて、とくいらしく出ていきました。
それから幾日《いくにち》も幾日《いくにち》もかかって、貞光《さだみつ》は金太郎《きんたろう》を連《つ》れて都《みやこ》へ帰《かえ》りました。そして頼光《らいこう》のおやしきへ行って、
「足柄山《あしがらやま》の奥《おく》で、こんな子供《こども》を見《み》つけてまいりました。」
と、金太郎《きんたろう》を頼光《らいこう》のお目にかけました。
「ほう、これはめずらしい、強《つよ》そうな子供《こども》だ。」
と頼光《らいこう》は言《い》いながら、金太郎《きんたろう》の頭《あたま》をさすりました。
「だが金太郎《きんたろう》という名《な》は侍《さむらい》にはおかしい。父親《ちちおや》が坂田《さかた》というのなら、今《いま》から坂田金時《さかたのきんとき》と名乗《なの》るがいい。」
そこで金太郎《きんたろう》は坂田金時《さかたのきんとき》と名乗《なの》って、頼
前へ
次へ
全13ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング