したが、そのなかに、三びき、大ねずみがいました。妖女は三びきのうちで、いちばんひげのりっぱな大ねずみをより出して、つえでさわって、ふとった、元気のいい御者にかえました。それはめったに見られない、ぴんとした、りっぱな口ひげをはやしていました。それがすむと、妖女《ようじょ》は、サンドリヨンにむかって、
「もういちど、裏《うら》のお庭へ行って、じょろ[#「じょろ」に傍点]のうしろにかくれているとかげを六ぴき、見つけていらっしゃい。」といいました。
サンドリヨンは、いいつけられたとおり、とかげをとってかえりますと、妖女はすぐ、それを六人のべっとうにかえてしまいました。それは、金や銀のぬいはく[#「ぬいはく」に傍点]のある、ぴかぴかの制服《せいふく》を着て、馬車のうしろの台《だい》にのりました。そうして、そこに、ぺったりへばりついたなり、押しっくらしていました。そのとき、妖女は、サンドリヨンにいいました。
「ほら、これでダンスに行くお供ぞろいができたでしょう。どう、気に入って。」
「ええ、ええ、気に入りましたとも。」と、サンドリヨンは、うれしそうにさけびました。「けれどわたし、こんなきたないぼ
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