てきた上《うわ》ぐつでしたから、ついわらい出してしまって、
「かしてくださらない。わたしの足にだってあうかもしれないから。」といいました。
すると、ふたりのきょうだいは、ぷっと吹き出して、サンドリヨンをからかったり、あざけったり、いじわるく追いだそうとかかりました。けれど、金の上ぐつを持ったお役人は、じっとサンドリヨンの顔を見て、これはめずらしく美しいむすめだとおもいましたから、たとえ、たれでも、ためすだけは、ためしてみなければならない、それが王子様のおいいつけだといいました。
そこで、サンドリヨンに腰をかけさせて、上ぐつを、その足にはかせますと、それはするりと、ぐあいよくはいって、まるでろう[#「ろう」に傍点]でかためたように、ぴったりくっついてしまいました。ふたりのきょうだいは、そのとき、どんなにびっくりしたでしょう。どうして、それどころか、サンドリヨンは、かくしの中から、もう片かたの上ぐつを出して見せました。ちょうどそのとき、サンドリヨンの教母《きょうぼ》の妖女《ようじょ》がすぐあらわれて、杖で、サンドリヨンの着物にさわりますと、こんどは、まえよりもまた、いっそう美しい、りっ
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