行ったのさ。その上ぐつの、かわいらしいことといってはないものだから、王子は、それをしまっておきなさった。王子はぶとう会でも、しじゅうお姫《ひめ》さまのほうばかり見ていらしった。きっと、王子は、金の上ぐつをはいているきれいなひとを、すいていらっしゃるにちがいないよ。」

         六

 なるほど、ふたりのいったとおりにちがいはありませんでした。それから二三日すると、王子はラッパを吹いておふれをまわして、その金の上ぐつの、しっくり足にはまるむすめをさがして、お妃にするといわせました。そうして、王子は、家来《けらい》たちに、その金の上ぐつを持たせて、王女たちから貴族《きぞく》のお姫さまたち、それから御殿じゅう、のこらずの足をためさせてみましたが、みんなだめでした。
 さて、とうとうまわりまわって、金の上ぐつは、いじのわるい、ふたりのきょうだいたちのところにまわって来ましたから、ふたりとも赤くなって、むりに足をつっこもうとしましたが、どうして、どうして、それはみんな、気のどくな、むだな骨おりでした。
 サンドリヨンは、そのとき、わきで見ていますと、それはなんのこと、じぶんの半分おとし
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