ぱな着物にかわりました。
 それで、ふたりのきょうだいには、あのぶとう会で見た美しいお姫《ひめ》さまが、サンドリヨンであったことが分かりました。ふたりは、サンドリヨンの足もとにつっぷして、これまでひどい目にあわせた罪《つみ》をわびました。サンドリヨンは、ふたりの手をとっておこして、やさしくだきしめました。そして、これまでふたりのしたことは、なんともおもわない。そのかわり、これからは、やさしくしてくれるようにといいました。
 サンドリヨンは、りっぱな着物を着たまま、王子の前へつれて行かれました。王子は、それで、いよいよサンドリヨンがすきになって、それから四、五日して、めでたくご婚礼《こんれい》の式《しき》をあげました。
 サンドリヨンは、顔が美しいように、心のやさしいむすめでしたから、ふたりのきょうだいをも、お城へ引きとってやって、ご婚礼のその日に、やはり、ふたりの貴族《きぞく》にめあわせることにしました。

 顔とすがたの美しいことは、男にも女にも、とうといたからです。でも、やさしく、しおらしい心こそ、妖女のこの上ないおくりものだということを知らなくてはなりません。



底本:「世界
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