ろと、サンドリヨンの着物から、頭のかざりものをしらべてみて、まあ、まあ、あれだけのりっぱな材料《ざいりょう》と、それをこしらえるりっぱな職人《しょくにん》とさえあれば、あしたにもさっそく、この型《かた》で、じぶんもこしらえさせてみよう、と考えていました。
 王子は、サンドリヨンを、そのなかでいちばん名誉《めいよ》の上席《じょうせき》へ案内《あんない》して、それからまた、つれ出して、いっしょにダンスをはじめました。
 サンドリヨンは、それはそれは、しとやかにおどったので、みんなは、いよいよびっくりしてしまいました。さて、けっこうなごちそうが、まもなく出ましたが、若い王子は、サンドリヨンの顔ばかりながめていて、ひとつものどにはとおりませんでした。
 サンドリヨンはやがて、じぶんのきょうだいたちのいるところへ出かけて行って、そのそばに腰をかけて、王子からもらったオレンジや、レモンを分けてやったりして、それは、いろいろやさしいそぶりをみせました。けれど、ふたりは、それがたれだか分からなかったものですから、ただもうびっくりして、目ばかりくるくるさせていました。サンドリヨンは、こうしてきょうだいた
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