ちのごきげんをとっているうちに、時計が十二時十五分前を打ちました。するといきなり、サンドリヨンは、ほかのお客たちに、ていねいにあいさつをして、ふいと出て行ってしまいました。
四
さて、うちへかえると、サンドリヨンは、そこに待っていた妖女《ようじょ》にあって、たくさんお礼をいったのち、あしたもまた、ぜひぶとう会へやってくださいといってたのみました。それは、王子の熱心《ねっしん》なおのぞみであったからです。
こうして、サンドリヨンが、ぶとう会であったことを、妖女にせっせと話をしていますと、やがて、ふたりのきょうだいがかえって来て、こつ、こつ、戸をたたきました。サンドリヨンは、かけて行って、戸をあけてやりました。
「まあ、ずいぶん長く行っていらしったのね。」と、サンドリヨンはさけんで、あくびをして、目をこすって、のびをしました。それは、うたたねをしていて、たった今、目がさめたというようなふうでした。けれど、じつはふたりが出て行ってから、サンドリヨンは、まるっきりねたくもねられない気持だったのです。
「おまえさん、ダンスに行ったら、それはたいくつなんぞしなかったろうよ。
前へ
次へ
全19ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング