瓜子姫子
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)しば刈《か》り
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     一

 むかし、むかし、おじいさんとおばあさんがありました。ある日おじいさんは山へしば刈《か》りに行きました。おばあさんは川へ洗濯《せんたく》に行きました。おばあさんが川でぼちゃぼちゃ洗濯《せんたく》をしていますと、向《む》こうから大きな瓜《うり》が一つ、ぽっかり、ぽっかり、流《なが》れて来《き》ました。おばあさんはそれを見《み》て、
「おやおや、まあ。めずらしい大きな瓜《うり》だこと、さぞおいしいでしょう。うちへ持《も》って帰《かえ》って、おじいさんと二人《ふたり》で食《た》べましょう。」
 といいいい、つえの先《さき》で瓜《うり》をかき寄《よ》せて、拾《ひろ》い上《あ》げて、うちへ持《も》って帰《かえ》りました。
 夕方《ゆうがた》になると、おじいさんはいつものとおり、しばをしょって山から帰《かえ》って来《き》ました。おばあさんはにこにこしながら出迎《でむか》えて、
「おやおや、おじいさん、お帰《かえ》りかえ。きょうはおじいさんのお好《す》きな、いいものを川で拾《ひ
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