ろ》って来《き》ましたから、おじいさんと二人《ふたり》で食《た》べましょうと思《おも》って、さっきから待《ま》っていたのですよ。」
 といって、拾《ひろ》って来《き》た瓜《うり》を出《だ》して見《み》せました。
「ほう、ほう、これはめずらしい大きな瓜《うり》だ。さぞおいしいだろう。早《はや》く食《た》べたいなあ。」
 と、おじいさんはいいました。
 そこでおばあさんは、台所《だいどころ》から庖丁《ほうちょう》を持《も》って来《き》て、瓜《うり》を二つに割《わ》ろうとしますと、瓜《うり》はひとりでに中からぽんと割《わ》れて、かわいらしい女の子がとび出《だ》しました。
「おやおや、まあ」
 といったまま、おじいさんもおばあさんも、びっくりして腰《こし》を抜《ぬ》かしてしまいました。しばらくしておじいさんが、
「これはきっと、わたしたちに子供《こども》の無《な》いのをかわいそうに思《おも》って、神《かみ》さまがさずけて下《くだ》さったものにちがいない。だいじに育《そだ》ててやりましょう。」
「そうですとも。ごらんなさい。まあ、かわいらしい顔《かお》をして、にこにこ笑《わら》っていますよ。」

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