、それだけあけましょう。」
「瓜子姫子《うりこひめこ》、もう少《すこ》しだ。あけておくれ。せめて頭《あたま》の入《はい》るだけ。」
しかたがないので、瓜子姫子《うりこひめこ》は頭《あたま》の入《はい》るだけあけてやりますと、あまんじゃくはするするとうちの中へ入《はい》って来《き》ました。
「瓜子姫子《うりこひめこ》、裏《うら》の山へ柿《かき》を取《と》りに行《い》こうか。」
と、あまんじゃくがいいました。
「柿《かき》を取《と》りに行《い》くのはいや。おじいさんにしかられるから。」
と、瓜子姫子《うりこひめこ》がいいました。
するとあまんじゃくが、こわい目《め》をして瓜子姫子《うりこひめこ》をにらめつけました。瓜子姫子《うりこひめこ》はこわくなって、しかたなしに裏《うら》の山までついて行きました。
裏《うら》の山へ行《い》くと、あまんじゃくはするすると柿《かき》の木によじ登《のぼ》って、真《ま》っ赤《か》になった柿《かき》を、おいしそうに取《と》っては食《た》べ、取《と》っては食《た》べしました。そして下《した》にいる瓜子姫子《うりこひめこ》には、種《たね》や、へたばかり投《
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