浦島太郎
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)丹後《たんご》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)丹後《たんご》の国|水《みず》の江《え》

[#]:入力者注。傍点の位置を示す
(例)たい[#「たい」に傍点]
−−

     一

 むかし、むかし、丹後《たんご》の国|水《みず》の江《え》の浦《うら》に、浦島太郎というりょうしがありました。
 浦島太郎は、毎日つりざおをかついでは海へ出かけて、たい[#「たい」に傍点]や、かつお[#「かつお」に傍点]などのおさかなをつって、おとうさんおかあさんをやしなっていました。
 ある日、浦島はいつものとおり海へ出て、一日おさかなをつって、帰ってきました。途中《とちゅう》、子どもが五、六人|往来《おうらい》にあつまって、がやがやいっていました。何《なに》かとおもって浦島がのぞいてみると、小さいかめの子を一ぴきつかまえて、棒《ぼう》でつついたり、石でたたいたり、さんざんにいじめているのです。浦島は見かねて、
「まあ、そんなかわいそうなことをするものではない。いい子だから」
と、とめました
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