へ行った。そしてその結果《けっか》はどうであったか。
 そしてその結果をお父さんは待ちかねていた。冬の半分は過《す》ぎた。温室を修理《しゅうり》することも、ガラスのフレームを新しく買うこともできないので、わたしたちは野菜物《やさいもの》やおおいの要《い》らないじょうぶな花を作っていた。これはたいしたもうけにはならなかったが、なにかの足しにはなった。これだってわたしたちの仕事であった。
 ある晩《ばん》お父さんはいつもよりよけいしずんで帰って来た。
「子どもたち」とかれは言った。「もうみんなだめになったよ」
 かれは子どもたちになにかだいじなことを言いわたそうとしているらしいので、わたしはさけて部屋《へや》を出ようとした。かれは手まねでわたしを引き止めた。
「ルミ、おまえもうちの人だ」とかれは悲しそうに言った。「おまえはなにかがよくわかるほどまだ大きくなってはいないが、めんどうの起こっていることは知っていよう。みんなお聞き、わたしはおまえたちと別《わか》れなければならない」
 ほうぼうから一つのさけび声と苦しそうな泣《な》き声が起こった。
 リーズは父親の首にうでを巻《ま》きつけた。かれ
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