はおそろしい結果《けっか》であった。しかもそのあとの結果はもっともっとおそろしかった。
わたしはまもなくそれをエチエネットから聞いた。
十年まえかれらの父親はこの花畑を買って、自分で家を建《た》てた。かれに土地を売った男は植木屋として必要《ひつよう》な材料《ざいりょう》を買う金をもやはりかれに貸《か》していた。その金額《きんがく》は十五年の年賦《ねんぷ》で、毎年しはらうはずであった。その男はしかもこの植木屋が支払《しはら》いの期限《きげん》をおくらせて、おかげで土地も家も材料までも自分の手に取り返す機会《きかい》ばかりをねらっていた。もちろんすでに受け取った十年分の支払い金額《きんがく》は、ふところに納《おさ》めたうえのことであった。
これはその男にとっては相場《そうば》をやるようなもので、かれは十五年の期限のつきないまえにいつか植木屋が証文《しょうもん》どおりにいかなくなるときの来ることを望《のぞ》んでいた。この相場はよし当たらないでも債権者《さいけんしゃ》のほうに損《そん》はなかった。万一当たればそれこそ債務者《さいむしゃ》にはひどい危険《きけん》であった。ところがひょうのお
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