《やさ》しい、いい子です。どうかせっかくうちを見つけたのだから、おうちのみなさんがあなたをかわいがるようにと、そればかり望《のぞ》んでいます。ではごきげんよろしゅう。
[#地より9字上げ]あなたの養母《ようぼ》
[#地より2字上げ]バルブレンの後家《ごけ》より」
なつかしいバルブレンのおっかあ。かの女は自分がわたしを愛《あい》したようにだれもわたしを愛さなくてはならないと思っているのだ。
「あの人はいい人だ」とマチアは言った。「じつにいい人だ。ぼくのことも思っていてくれる。さあ、これでドリスコルさんがどう言うか、見たいものだ」
「父さんは品物の細かいことは忘《わす》れているかもしれない」
「どうして子どもがかどわかされたとき着ていた着物を、親が忘《わす》れるものか。だってまたそれを見つけるのは着物が手ががりだもの」
「とにかくなんと言うか、聞いて、それから考えることにしよう」
わたしがぬすまれたとき、どんな着物を着ていたか、これを父親にたずねるのは容易《ようい》なことではなかった。なんの下心なしにぐうぜんこの質問《しつもん》を発するなら、それはいたって簡単《かんたん》なことであろう
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