じたと同じくらいこのガスパールおじさんに対しては気持ちよく感じた。
「さあ、子どもどうし話をおしよ」とかれはゆかいそうに言った。「きっとおたがいにたんと話すことが積《つ》もっているにちがいない。わたしはこのコルネをそんなにじょうずにふく若《わか》い紳士《しんし》とおしゃべりをしよう」
アルキシーはわたしの旅の話を聞きたがった。わたしはかれの仕事の様子を知りたがった。わたしたちはおたがいにたずね合うのがいそがしくって、てんでに相手《あいて》の返事が待ちきれなかった。
うちに着くと、ガスパールおじさんはわたしたちを晩飯《ばんめし》に招待《しょうたい》してくれることになった。この招待ほどわたしをゆかいにしたものはなかった。なぜならわたしたちはさっきのおばさんの待遇《たいぐう》ぶりで、がっかりしきっていたから、たぶん門口《かどぐち》で別《わか》れることになるだろうと、道みちも思っていたからであった。
「さあ、ルミさんとお友だちのおいでだよ」おじさんはうちへはいりかけながらどなった。
しばらくしてわたしたちは夕食の食卓《しょくたく》にすわった。食事は長くはかからなかった。なぜなら金棒引《か
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