ぎょろした目や、くぼんだほおや、血の気《け》のないくちびるがどんなにおそろしく見えるかということを、かれに語ることを好《この》まなかった。
「きみは病院へ行かなければならない。ずいぶん悪いと思うよ」
「いよいよかね」
かれは足を引きずりながらのろのろ食卓《しょくたく》のほうへ行って、それをふき始めた。
「ガロフォリがまもなく帰って来る」とかれは言った。「ぼくたちはもう話をしてはいけない。もうこれだけぶたれているのだ。このうえよけいなぐられるのは損《そん》だからね。なにしろこのごろいただくげんこは先《せん》よりもずっと効《き》くからね。人間はなんでも慣《な》れっこになるなんて言うが、それはお人よしの言うことだよ」
びっこひきひきかれは食卓《しょくたく》の回りを回って、さらやさじならべた。勘定《かんじょう》すると二十|枚《まい》さらがあった。そうするとガロフォリは二十人の子どもを使っているのだ。でも寝台《ねだい》は十二しか見えなかったから、かれらのある者は一つの寝台に二人ねむるのだ。それにとにかくなんという寝台であろう。なんというかけ物であろう。かけ物の毛布《もうふ》はうまやから、もう
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