》のすみに引っこんでいた。
 そのなみだの霧《きり》の中から、わたしは、前列のこしかけにすわっていた若《わか》いおくさんがいっしょうけんめい手をたたいているのを見た。わたしはまえから、この人が一人、今夜小屋に集まった百姓《ひゃくしょう》たちとちがっていることを見つけた。かの女は若《わか》い美しい貴婦人《きふじん》で、そのりっぱな毛皮の上着だけでもこの村一番の金持ちにちがいないとわたしは思った。かの女はいっしょに子どもを連《つ》れていた。その子もむちゅうでカピにかっさいしていた。ひじょうによく似《に》ているところを見れば、それはかの女のむすこであった。
 初《はじ》めの歌がすむと、カピはまたどうどうめぐりをした。ところがそのおくさんはぼうしの中になにも入れなかったのを見て、わたしはびっくりした。
 親方が第二の曲をすませたとき、かの女は手招《てまね》きをしてわたしを呼《よ》んだ。
「わたし、あなたの親方さんとお話ししたいんですがね」とかの女は言った。
 わたしはびっくりした。(そんなことよりもなにかぼうしの中へ入れてくれればいい)とわたしは思った。カピはもどって来た。かれは二度目のどうど
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