犬であった。
 わたしは、まっ白な夜をながめながらまだ二、三分そこに立っていた。それは美しい景色《けしき》ではあったし、おもしろいと思ったが、なんとも言えないさびしさを感じた。むろん見まいと思えば目をふさいで中にはいって、そのさびしい景色を見ずにいることはできるのだが、白いふしぎな景色がわたしの心をとらえたのであった。
 とうとうわたしはまたたき火のそばへ帰って、二、三本まきをたがいちがいに火の上に組み合わせて、まくらの代わりにした石の上にこしをかけた。
 親方はおだやかにねむっていた。犬たちとジョリクールもまたねむっていた。ほのおが火の中から上って、ぴかぴか火花を散《ち》らしながら屋根のほうまで巻《ま》き上がった。ぱちぱちいうたき火のほのおの音だけが夜の沈黙《ちんもく》を破《やぶ》るただ一つの音であった。
 長いあいだわたしは火をながめていたけれど、だんだん我知《われし》らずうとうとし始めた。わたしが外へ出てまきをこしらえる仕事でもしていたら、日を覚《さ》ましていられたかもしれなかったが、なにもすることもなくって火にあたっているので、たまらなくねむくなってきた。そのくせしょっちゅう自
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