フランシュから、アヴィニオンヌまで行って、アヴィニオンヌからノールーズの岩まで行った。ノールーズにはこの運河の開鑿者《かいさくしゃ》であるリケの記念碑《きねんひ》が、大西洋《たいせいよう》に注ぐ水と地中海《ちちゅうかい》に落ちる水とが分かれる分水嶺《ぶんすいれい》の頂《いただき》に建《た》てられてあった。
それからわたしたちは水車の町であるカステルノーダリを下って、中世の都会であったカルカッソンヌへ、それから貯水溝《ちょすいこう》のめずらしいフスランヌの閘門《こうもん》(船を高低の差のある水面に上げたり下ろしたりするしかけのある水門)をぬけてベジエールに下った。
おもしろい所ではわたしたちはたいそうゆっくり船を進めた。けれど景色《けしき》がつまらなくなると馬は引き船の道を早足にとっとっとかけた。
いつどこでとまって、いつまでにどこまでへ着かなければならないということもなかった。毎日同じ決まった食事の時間に露台《ろだい》の上に集まって、静《しず》かに両岸の景色《けしき》をながめながら食事をした。日がしずむと船は止まった。日がのぼると船はまた動き出した。
雨でも降《ふ》ると、わたし
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