す」
「じゃあ、お母さま、たんとおやりなさい」と子どもが言った。かれはそのうえなにかわたしにわからないことばでつけ加《くわ》えていた。すると貴婦人《きふじん》は、
「アーサがお仲間《なかま》の役者たちをそばで見たいと言うのですよ」と言った。
わたしはカピに目くはせをした。大喜《おおよろこ》びでかれは船の中へとびこんで行った。
「それから、ほかのは」とアーサと呼《よ》ばれたこの子どもはさけんだ。
ゼルビノとドルスがカピの例《れい》にならった。
「それからおさるは」
ジョリクールもわけなくとびこむことができたろう。でもわたしは安心がならなかった。一度船に乗ったら、きっとなにか貴婦人《きふじん》の気にいらないような悪さをするかもしれなかった。
「おさるは気があらいの」と貴婦人はたずねた。
「いいえ、そうではありませんが、なかなか言うことを聞きませんから、失礼《しつれい》でもあるといけないと思います」
「おや、それではあなた、連《つ》れておいでなさい」
こう言って貴婦人《きふじん》はかじのほうに立っていた男に合図をした。この人は出て来て、へさきから岸に板をわたした。
肩《かた》にハー
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