たら、ダンスのあとでちがった番組をいろいろとりかえてごらんにいれましょう」
これはうちの親方の使う口上《こうじょう》の一つであった。わたしはなるべくかれと同じようなしかつめらしい言い方でやろうと努《つと》めた。だがなおよく考えると、喜劇《きげき》を所望《しょもう》してくれなかったことは結局《けっきょく》ありがたかった。なぜといって、どうそれをやるかくふうがつかなかった。ゼルビノという役者が一|枚《まい》足りないばかりではない、芝居《しばい》をするには衣装《いしょう》も道具もなかった。
とにかくわたしはハープを取り上げて、まずワルツの第一|節《せつ》をひいた。カピは前足でドルスのこしをだいて、じょうずに拍子《ひょうし》を取りながらおどり回った。つぎにジョリクールが一人でおどって、それからそれとわたしたちは順々《じゅんじゅん》に番組を進めていった。もう少しもくたびれたとは思わなかった。かわいそうな動物どもは、やがて昼飯《ひるめし》の報酬《ほうしゅう》の出ることを知って、いっしょうけんめいにやった。わたしもそのとおりであった。
するととつぜん、みんながいっしょになってダンスをしている最
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