おくれ。そいつらみんなつかまえておくれ」
 おばあさんのこう言うのを聞いて、わたしはとにかく自分にも罪《つみ》がある。いやすくなくともゼルビノの犯罪《はんざい》に責任《せきにん》があると感じた。そこでわたしはかけ出した。もしおばあさんがぬすまれた肉の代価《だいか》を請求《せいきゅう》じたら、なんと言うことができよう。どうして金をはらうことができよう。それでわたしたちがつかまえられれば、きっと刑務所《けいむしょ》に入れられるだろう。
 わたしがにげ出して行くのを見て、ドルスとカピもさっそくわたしの例《れい》にならった。かれらはわたしのかかとについて走った。ジョリクールはわたしの肩《かた》に乗ったまま、落ちまいとしてしっかり首にかじりついた。
 だれかほかの者もさけんでいた。待て、どろぼう……そしてほかの人たちも仲間《なかま》になって追っかけていた。けれどもわたしたちはどんどんかけた。恐怖《きょうふ》がわたしたちの速力《そくりょく》を進めた。わたしはドルスがこんなに早く走るのを見たことがなかった。かの女の足はほとんど地べたについていなかった。横町を曲がって、野原をつっ切って、まもなくわたし
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