か、ひどい言いぐさだ。わたしはこじきはしなかった。わたしは歌を歌ったまでだ。
五分とたたないうちに、わたしはこの人情《にんじょう》のない、そのくせいやに監視《かんし》の行き届《とど》いている村をはなれた。
犬たちは頭《かしら》を垂《た》れて、すごすごあとからついて来た。きっとつまらない目に会ったことを知っていた。
カピはしじゅうわたしたちの先頭に立って歩いていた。ときどきふり向いては例《れい》のりこうそうな目で、いったいどうしたのですと言いたそうに見えた。ほかのものがかれの位置《いち》に置《お》かれたのだったら、きっとわたしにそれをたずねたであろうけれども、カピはそんな無作法《ぶさほう》をするには、あんまりよくしつけられていた。
かれはふに落ちないのを、いっしょうけんめいがまんしているふうを見せるだけで満足《まんぞく》していた。
ずっと遠くこの村からはなれたとき、わたしは初《はじ》めてかれらに(止まれ)という合図をした。それで三びきの犬はわたしの回りに輪《わ》を作った。そのまん中にはカピがじっとわたしに目をすえていた。
わたしはかれらがわからずにいることを、ここで説明《せつ
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