いてくれなければだめだ。そうすればおたがいの力でなにかできるかもしれない。おまえたちはみんなしていっしょうけんめい、ぼくを助けてくれなければならない。わたしたちはおたがいにたより合ってゆきたいと思うのだ」
こういったわたしのことばが、残《のこ》らずかれらにわかったろうとはわたしも言わないが、だいたいの趣意《しゅい》は飲みこめたらしかった。かれらは同じ考えになってはいた。かれらは親方のいなくなったについて、そこになにか大事件《だいじけん》が起こったことを知っていた。それでその説明《せつめい》をわたしから聞こうとしていた。かれらがわたしの言って聞かせた残《のこ》らずを理解《りかい》しなかったとしても、すくなくともわたしがかれらの身の上を心配してやっていることには満足《まんぞく》していた。それでおとなしくわたしの言うことに身を入れて聞いて、満足《まんぞく》の意味を表していた。
いやお待ちなさい。なるほどそれも、犬の仲間《なかま》だけのことで、ジョリクールには、いつまでもじっとしていることが望《のぞ》めなかった。かれは一分間と一つ事に心を向けていることができなかった。わたしの演説《えんぜつ
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