ん少なくなった。芝居《しばい》がすむと一人ずつまた二人ずつ、子どもたちはやって来て、ジョリクールとカピとドルスに握手《あくしゅ》をして行った。みんなさようならを言いに来たのであった。そこでわたしたちもまたなつかしい冬の休息所を見捨《みす》てて、またもや果《は》て知《し》れない漂泊《ひょうはく》の旅に出て行かなければならなかった。それはいく週間と知らない長いあいだ、谷間をぬけ山をこえた。いつもピレネー連山《れんざん》のむらさき色のみねを横に見た。それはうずたかくもり上がった雲のかたまりのように見えていた。
さてある晩《ばん》わたしたちは川に沿《そ》った豊《ゆた》かな平野の中にある大きな町に着いた。赤れんがのみっともない家が多かった。とんがった小砂利《こじゃり》をしきつめた往来《おうらい》が、一日十二マイル(約十九キロ)も歩いて来た旅行者の足をなやました。親方はわたしに、ここがツールーズの町だと言って、しばらくここに滞留《たいりゅう》するはずだと話した。
例《れい》によってそこに着いていちばん初《はじ》めにすることは、あくる日の興行《こうぎょう》につごうのいい場所を探《さが》すことであ
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