けて行って、あまりびんぼうでない町だと見ると、まず行列を作る用意を始めて、犬たちに着物を着せかえてやり、ドルスの髪《かみ》にくしを入れてやる。カピが老兵《ろうへい》の役をやっているときは、目の上に包帯《ほうたい》をしてやる。最後《さいご》にいやがるジョリクールに大将《たいしょう》の軍服《ぐんぷく》を着せる。これがなによりいちばんやっかいな仕事であった。なぜというにこのさるは、これが仕事にかかるまえぶれだということを知りすぎるほど知っていて、なんでも着物を着させまいとするために、それはおかしな芸当《げいとう》を考え出すのであった。そこでわたしはしかたがないからカピを加勢《かせい》に呼《よ》んで来て、二人がかりでどうやらこうやらおさえつけて、言うことを聞かせるのであった。
さて一座《いちざ》残《のこ》らずの仕度ができあがると、ヴィタリス親方は例《れい》のふえでマーチをふきながら村の中へはいって行く。
そこでわれわれのあとからついて来る群衆《ぐんしゅう》の数が相応《そうおう》になると、さっそく演芸《えんげい》を始めるが、ほんの二、三人気まぐれな冷《ひ》やかしのお客だけだとみると、わざわざ
前へ
次へ
全320ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング