《さる》が親《おや》がにを殺《ころ》したから、かたきを討《う》ちたいと言《い》いますと、栗《くり》は、
「にくい猿《さる》だ。よしよし、おじさんがかたきをとってやるから、お泣《な》きでない。」
 と言《い》いました。
 それでも子がには泣《な》いていますと、こんどは蜂《はち》がぶんとうなって来《き》て、
「かにさん、かにさん、なぜ泣《な》くの。」
 と聞《き》きました。
 子がには猿《さる》が親《おや》がにを殺《ころ》したから、かたきを討《う》ちたいと言《い》いました。すると蜂《はち》も、
「にくい猿《さる》だ。よしよし、おじさんがかたきをとってやるから、お泣《な》きでない。」
 と言《い》いました。
 それでも子がにがまだ泣《な》いていますと、こんどは昆布《こんぶ》がのろのろすべって来《き》て、
「かにさん、かにさん、なぜ泣《な》くの。」
 と聞《き》きました。
 子がには猿《さる》が親《おや》がにを殺《ころ》したから、かたきを討《う》ちたいと言《い》いました。すると昆布《こんぶ》も、
「にくい猿《さる》だ。よしよし、おじさんがかたきをとってやるから、お泣《な》きでない。」
 と言《
前へ 次へ
全11ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング