安達が原
楠山正雄
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)京都《きょうと》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|日《にち》
−−
一
むかし、京都《きょうと》から諸国修行《しょこくしゅぎょう》に出た坊《ぼう》さんが、白河《しらかわ》の関《せき》を越《こ》えて奥州《おうしゅう》に入《はい》りました。磐城国《いわきのくに》の福島《ふくしま》に近《ちか》い安達《あだち》が原《はら》という原《はら》にかかりますと、短《みじか》い秋《あき》の日がとっぷり暮《く》れました。
坊《ぼう》さんは一|日《にち》寂《さび》しい道《みち》を歩《ある》きつづけに歩《ある》いて、おなかはすくし、のどは渇《かわ》くし、何《なに》よりも足《あし》がくたびれきって、この先《さき》歩《ある》きたくも歩《ある》かれなくなりました。どこぞに百姓家《ひゃくしょうや》でも見《み》つけ次第《しだい》、頼《たの》んで一晩《ひとばん》泊《と》めてもらおうと思《おも》いましたが、折《おり》あしく原《はら》の中にかかって、見渡《みわた》す限《かぎ》りぼうぼうと草《くさ》ばか
次へ
全12ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング