ヘンゼルとグレーテル
HANSEL UND GRETEL
グリム兄弟 Bruder Grimm
楠山正雄訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)寝床《ねどこ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大|鍋《なべ》

[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)大ききん[#「ききん」に傍点]
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         一

 まずしい木こりの男が、大きな森の近くにこやをもって、おかみさんとふたりのこどもとでくらしていました。ふたりのこどものうち、男の子がヘンゼル、女の子がグレーテルといいました。しがなくくらして、ろくろく歯にあたるたべものを、これまでもたべずに来たのですが、ある年、国じゅうが大ききん[#「ききん」に傍点]で、それこそ、日日のパンが口にはいらなくなりました。木こりは、晩、寝床《ねどこ》にはいったものの、こののち、どうしてくらすかかんがえると、心配で心配で、ごろごろ寝がえりばかりして、ためいきまじりに、おかみさんに話しかけました。
「おれたち、これからどうなるというんだ。かわいそうに、こどもらをどうやってくわしていくか。
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