すぐと路がみつかるよ。」と、いいました。
やがて、まんまるなお月さまが、高だかとのぼりました。そこで、ヘンゼルは小さい妹の手をひいて、小砂利をおとしたあとを、たどりたどり行きました。小砂利は、吹き上がって来たばかりの銀貨《ぎんか》みたいに、ぴかぴか光って、路しるべしてくれました。ひとばんじゅうあるきどおしにあるいて、もう夜のしらしら明けに、ふたりはやっとおとっつぁんのうちにかえって来ました。ふたりがおもてをこつこつとたたくと、おかみさんが戸をあけて出てきました。そして、ヘンゼルとグレーテルの立っているのを見ると、
「このろくでなしめら、いつまで森ン中で寝こけていたんだい。おまえたち、もううちにかえるのがいやになったんだとおもっていたよ。」と、いいました。
おとっつぁんのほうは、でも、ああして子どもたちふたりっきり、おきざりにして来たものの、心配で心配でならなかったところでしたから、よくかえって来たといってよろこびました。
そののち、もうほどなく、うちじゅうまた八方ふさがりになりました。こどもたちがきいていると、夜おそく、寝ながらおっかさんが、おとっつぁんにむかって、
「さあ、いよ
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