天上《てんじょう》したくなって、まいにち、豆の木のはしごばかりながめていました。するとそれが気になって、気になって、気がふさいで来ました。
 そこで、ジャックは、ある日また、そっと豆の木のはしごをつたわってのぼりました。こんども顔から姿から、すっかりほかのこどもになって行きましたから、鬼のお上さんは、まただまされて、中に入れました。そして、大男がかえると、あわてて、お釜《かま》のなかにかくしてくれました。
 鬼の大男は、へやの中じゅうかぎまわって、ふん、ふん、人くさいぞといいました。そして、こんどは、なんでもさがしだしてやるといって、へやの中のものを、ひとつひとつみてまわりました。そしてさいごに、ジャックのかくれているお釜のふたに手をかけました。ジャックは、ああ、こんどこそだめだとおもって、ふるえていますと、それこそ妖女がまもっていてくれるのでしょうか、大男は、ふと気がかわって、それなりろばたにすわりこんで、
「まあいいや。はらがすいた。晩飯にしようよ。」といいました。
 さて、晩飯がすむと、大男はお上さんに、
「にわとりはとられる、金の袋、銀の袋はぬすまれる、しかたがない、こん夜《や
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