いめにあうのはこりこりだよ。」といいました。
 それでも、ジャックは、しつっこくたのんで、とうとう中へ入れてもらいました。するうち、大男がかえって来て、また、そこらをくんくんかいでまわりましたが、ジャックは、あかがねの箱の中にかくれているので、どうしてもみつかりませんでした。
 大男は、この前とおなじように、晩《ばん》の食事をたらふくやったあとで、こんどは、金のたまごをうむにわとりの代りに、金や銀のおたからのたくさんつまった袋を出させて、それをざあっとテーブルの上にあけて、一枚一枚かぞえてみて、それから、おはじきでもしてあそぶように、それをチャラチャラいわせて、さんざんあそんでいましたが、ひととおりたのしむと、また袋の中にしまって、ひもをかたくしめました。そして、天井にひびくほどの大あくび、ひとつして、それなりぐうぐう、大いびきでねてしまいました。
 そこで、こんども、ジャックは、そろりそろり、あかがねの箱からはいだして、金と銀のおたからのいっぱいつまった袋を、両方の腕に、しっかりかかえるがはやいか、さっさとにげだして行きました。ところが、この袋の番人に、一ぴきの小犬がつけてあったので
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